ひろすけの本棚

日々の読書記録

「奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録」石川拓治

以前、映画で奇跡のリンゴの話を見て面白かったのもあり、今回Amazon Prime Readingで本作が無料で読めたので手に取ってみました。

映画を見たのはだいぶ前だったので、本作のイメージとして諦めないことの大切さや、家族の愛という印象を持っていました。

この本を読んでみて、木村さんの信念の強さ、努力、研究熱心な点に改めて感心したのですが、それ以上に「自然のバランス」という普遍的な存在に気付かされました。

不可能と言われた無農薬リンゴの栽培を達成するのですが、その鍵となったのは自然に近い環境を再現し、雑草を残し、虫たちを駆除せず、リンゴの木が持つ病気への抵抗力を最大限に引き出すということでした。

農薬で虫を駆除するということは、自然が作り出してきた生態系のバランスを強制的に変えて、リンゴを甘やかして育てるようなものです。

そうすれば、農薬で駆除された生物が捕食していた別の害虫を大量発生させることになったり、リンゴの木が限られた栄養を得ようと根を伸ばすことをやめてしまったり。あらゆる面で自然界で作られてきた循環を崩してしまうことになります。

 

本作を読んで、農業だけでなく、多くの人間のテクノロジーが自然の生態系を強制的に捻じ曲げているということに気づかされたました。

そして我々が直面している地球環境の変化が、少なからずそれらに影響を受けているのは間違いありません。今の人間社会を手放すことはできませんが、木村さんの取り組みは、これからの人間の向かうべき道として、ひとつの例を示してくれたのだと思いました。

 

この本から学んだこと

 「自然」を尊重することで見えてくることがある

 

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)